瞑想を続けるための小さな工夫
瞑想の本を見て始められた方は、もちろん続けられるようにとの工夫が書かれているでしょうし、MBSR(マインドフルネスストレス低減法)のプログラムでは最後のセッションで、これからの自分の取り組みについての具体的な工夫を考えます。
例えば、毎日瞑想をする時に役立つ小物を揃えてみる。(座布、お気に入りの椅子、クッション、鐘、チベタンベル、お香、作務衣(さむえ)等)
また、決まった時刻になると知らせてくれるタイマーや、様々な機能を持った瞑想用アプリを携帯に入れる等も自分のプラクティスを支えてくれる大切な工夫です。
ちなみに私は、瞑想用アプリを使っています。設定で、色々な用途や時間も自分の好みで変えられます。
他には、瞑想を行う場所の環境を整えてもいいかもしれません。理想は瞑想用の部屋があればよいのですが、ほとんどの人はそこまではできません。けれども部屋の一部を整えて、瞑想場所にすることもできるかもしれません。
オンラインリトリートなどで、参加者の方を拝見すると、小さな畳を敷いたり、障子風の衝立(ついたて)を置いたり、自分が落ち着く絵やお軸をかけたり、様々に工夫をしておられました。
また、定期的なグループで座る瞑想会(坐禅会、オンラインの瞑想会等)で多くの人と、気持ちの良い緊張感のもとで瞑想を行うことも、自分のモーティベーションを維持し、高めるかもしれません。
私も定期的にいつも参加している人のお顔を見ると嬉しく、瞑想を続けようと思います。
ああ、もう嫌…。
けれども、瞑想はどんな人でもたいてい半年ほどすると、正直しんどくなったり、面倒くさくなったり、いろいろな日常の出来事が重なり、プラクティスをする時間が取れないこと起こります。
そうすると、「ああ、今日もしなかった。明日はしなくっちゃ。」「ああ、連続して3日していない。さぼっちゃったなあ。」「とうとう、1か月続かなかった。もう無理だ。やめよかなあ?」等と考えだします。
そして、「私って、やっぱり、ダメだな。」「これがいつもの僕のパターン、自分ってなんて情けないんだ。あんなにやろうと決めたのに…。」など自分を批判したり、責めたりし始めてしまいます。
あんなに新鮮な発見があったのに、気が付くといつのまにか以前の自動操縦状態の中にいる自分に嫌気がさし、「やっぱり、自分なんて瞑想なんかには向いてないんだ。」と自分に評価をくだし、やめてしまう人も実際はけっこうおられると思います。
参禅会でも、新しい方が来られるのですが、継続して来られるようになる方は、20人に一人くらいではないかと感じています。
やはり、瞑想を続けるには、何か壁のようなものが色々とあるようです。
「やっていないこと、それもプラクティス」
ここで、「マインドフルネス瞑想」に取り組むにあたっての9つの態度を思い出してみましょう。
- 自分で評価をくださないこと
- 忍耐強いこと
- 初心を忘れないこと
- 自分を信じること
- むやみに努力しないこと
- 受け入れること
- とらわれないこと
- 感謝すること
- 寛容であること
私たちの日常は、家庭、仕事もあれば、家族や自分が病気になることもあります。突発的なことも起きます。「もう、やりたくないなあと思うのも人間ならだれでもあるでしょう。」そんな時は、どうしたらよいでしょうか?
そんな時には、いくつかの方法があります。
まず、9つの態度を自分自身に伝えてあげましょう。そして、マインドフルに考えて、「今は、寝よう!」とか「しばらくはやめておこう。」という選択をすることもできます。
また、「やっていないこと、それもプラクティス!」と考えて、そんなやっていない自分をときどき観察してみましょう。
フッとした瞬間にどのような思いや考え、身体の感覚、感情があなたに立ち現れてくるでしょうか?
私も、色々なことが重なり、数か月プラクティスをしなかったことがあります。
そんな時、自然と「ああ、もう数か月もやっていないなあ。体も重いし、なんだか集中できないし…。」と感じている自分がいました。そして、ふと「少し、静坐瞑想してみようかなあ…。」と思い、少し座ってみました。
終わると「ああ、なんか気持ちがいい。」と感じ、その後またプラクティスを再開することができました。
なので、放っておくというと乱暴ですが、自分に厳しくしすぎず、出来ない時は出来ないことを受け入れて、自分で評価をくださず、むやみに努力しないことも大切な選択だと思います。
「やっていないこともプラクティス」これは、私がファシリテーターからMBSRの時に聞いた言葉です。
なんだか、ホッとする言葉ですね…。
私たちが幸せに至る道はたくさんある
ブラウン大学マインドフルネスセンター所長のエリック・ラウクスさんは、「今が、マインドフルネスやメディテーション(瞑想)に適している時でしょうか?」(マインドフルな大学生 伊藤靖 渋沢田鶴子翻訳・編集 金剛出版 2024 pp18.)で「マインドフルネスは万能ではないこと」や、「もし役に立たなければ、やめてください。健康や幸福に至る道はたくさんあるのですから。」と述べておられます。
そうです!とらわれすぎて、逆に疲弊しないことです。 まずは、ちゃんと寝て、食べてからですね。
私たちが幸せになる選択肢は、たくさんあります!