「あってほしくないもの その①」
野菜作りをしていると、様々な生き物たちに出会います。前からジャガイモの葉が虫に食われているのが気になっていましたが、虫らしきものや卵も見当たりませんでした。さらに数日たち、葉を見ると筋を残し、大部分が食べられており仰天しました。周りの方々に尋ねると「ヨトウだろう。」とのことでした。
ヨトウムシはガの幼虫で、昼間は土の中に隠れており、夜中に出てきて葉を食べるそうです。私は、ジャガイモは黒マルチというビニールを用いて育てています。「腹立つわ~!」とヨトウムシを探すために勢いよく黒マルチをめくると、ムカデが急に這い出してきました。 「ギャー!」と思わず悲鳴を上げました。こんな至近距離でムカデを見たのは生まれて初めてです。私に「闘争・逃走反応」が発動しました。近くにいた方々(畑の師匠たち)が「どうしたんや!?」と駆けつけてくれました。師匠たちは落ち着いており、ムカデなどには動じません。30年以上、参禅会に来られ自分やその周りの様々な事象を観察して自己を鍛えておられます。そして、師匠たちには、常に心にスペースがあります。私が安心して作業を進められるように選択してくださいました。
ひとまず、ムカデを退治してもらった私はひと安心です。子どもの頃、男の子達がおもちゃのムカデで周りの子たちを脅かしていた喜んでいたアレそのものでした。
脱中心化
「ああ、これで安心!」と再びヨトウムシを探していると右手の小指に激痛が走りました。「キャー!痛い!咬まれた!」とまた叫ぶと「またどうしたんや?」と師匠たちが来てくださり、「多分、ムカデやな。傷口を洗って、しばらく冷やしとき。」と言われたのでその通りにしました。平気そうにしていましたが、すごいショックで、泣きそうでした。その日は、早め切り上げ、家に帰りましたが、座っても立っても手を上げても下げても痛みは増してきます。念のため、お医者さんに行き診てもらいました。
その夜、腫れた小指を眺めながら、「絶対にヨトウムシ、許さない!私の大切なジャガイモを守る!」と思い、インターネットで駆除方法を検索していました…。
「しかし…、なんで、ムカデはあそこにいたんだろう?そういえば、昔、ムカデはつがいでいるって聞いたとがあるけど…。(調べると)親子だとこのこと、ああ、子どもを育てていたんだ…。じゃあ、ごはんがたくさんいるよね。エサは?(調べると)ムカデは肉食性で、生きた昆虫など動く獲物を餌とし、好物はゴキブリ、コオロギ、クモ、ミミズ(多分ヨトウムシも…)だそうです。「もしかして、ムカデはヨトウムシを食べてくれていたのか…。私が不用意に手を突っ込んだから外敵か餌と思い咬んだのかしら…?ムカデと私は畑の中での目的(ヨトウムシを取る!)は結果的には同じではないか! う~ん、今度から黒マルチを棒か何かでたたいてから(ムカデを急に驚かせないで移動してもらってから)ヨトウムシを探そうと思いました。
マインドフルネスのプラクティスでは、自分の囚われがちな視点にまずは気づきます。そして、それ以外にも私たちの行動には選択肢のある可能性を探索します。
今回は、「私のジャガイモ」に囚われていた私。が、少し、自分中心の視点から離れ、ムカデの視点で考えてみると気づきが私の中で現れました。「あってほしくないもの」=ヨトウムシにはかわいそうですが、私の視点の変化と選択肢のいくつかを教えてくれました。とにもかくにも、私がムカデに悲鳴を上げた時に駆けつけてくださったお師匠様方、ほんとうにありがとうございました。
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