あってほしくないもの その③
どのような瞑想でも、始めた時に私たちが悩まされるのが、足、床に接している部分、慣れない姿勢による痛みやしびれがあります。また、「お腹がすいたなあ。ああ、ハンバーガー食べたい!」「のどが渇いたなあ、何か飲みたい。」と思ったり、「こんなことをしていても何の役にも立たないんじゃないか?」という考えも起こるかもしれません。時には、イライラしたり、落ち着かなかったり、眠気も起こります。瞑想時には、様々な「あってほしくないもの」が私たちにやって来るのですが、それにどのように対応するかがプラクティスになります。
私の最初の瞑想体験は、真夏の京都での座禅でした。説明してくださったお坊様は、足の組み方、重心の決め方、目は半眼、丹田あたりに意識を持っていき呼吸をする、一息(吸って吐く)ごとに数を数える方法や、色々な思いが出てきても車窓の景色を眺めるように流していくこと、足が痛くて我慢できなければ、周りの人の迷惑にならないように足を組み直してもいいこと、壁に向かって座る曹洞宗と対面して座る臨済宗の違いなどを説明してくださり、「まずは、気持ちを落ち着けて座ってみてください。」ということで、お輪の音とともに座禅が始まりました。
私は、とても緊張して、がんばって動かないで集中して座ろうと思いました。(座禅と瞑想は厳密にいうと異なるのですが、今は自分を見つめる、探求するために座るという体験として考えます) 15分を2柱ということでしたが、10分位すると、足のしびれから、腰へと次第に痛さが増してきました。足を組み直したいと思いましたが、周りはシ~ンと誰も動いていないようなので、恥ずかしくて動かせません。暑いからか、足、腰の痛さからの冷や汗なのか分からない汗がしたたり落ちます。「気持ち悪い、拭きたい。でも動いたらダメ、ウウッ~、目の中入る…。足痛い…。」と半ばパニックになっていました。やっと15分が経過し、1柱目は終了。5分間休憩ですが、しびれと痛さでしばらく足は動きませんでした。2柱目は、足のしびれと痛さは、先ほどより早く限界に達してもうよく分からない状態でした。汗の方が気になっていましたが、動いてはいけないと思っていたので、そのままにしているとだんだんどうでもよくなってきました。その時、一瞬、涼しい風が吹いてきて「ああ、気持ちいい。」と感じたことを覚えています。その日の京都の最高気温は37度でした。衝撃的な体験でした。
誰にでもやってくるもの
このように、多くの人は初めての瞑想体験では、どのような瞑想であれ、様々な「あってほしくないもの」が怒涛のように押し寄せてきて圧倒されてしまいます。なので、「坐禅や瞑想」をまじめに続けてやっていきたいと思っている人ほどショックが大きいようです。もしかしたら「もう、私、無理!」「自分には向いてない。」「こんな短い時間でもできないんだから30分とか40分なんて絶対ダメ!」「こんな短い時間なのに恥ずかしい…。」等と感じてしまうかもしれません。
けれども大切なことは、これらのこと、「あってほしくないもの」は誰にでもやって来るものなのです!そしてどんなに修行をされたお坊様も超ベテランの瞑想家でも起こる事なのです。ほんとうなんです。このことをまず、知っておいてくださいね。