五感で楽しむ

自分の生活の中にマインドフルネスのプラクティスを取り入れると、体験の深さと豊かさがより深く感じられるかもしれません。特に、衣、食、住に関して、より深く味わえると人生の小さな発見や楽しみや喜びに満たされるかもしれません。素晴らしいなあと感じたら、自分のすべての感覚を使って、味わう、体験することにチャレンジすると、自分の既成概念が壊れて新しい価値観を想像することもあるでしょう。
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キリンビール神戸工場ツアー

 最近、大人が五感で楽しめる楽しい見学会に参加しました。一つは、キリンビールの神戸工場見学です。みなさんは、ビールはお飲みになりますか? 体を動かした後のビール、最高ですよね。

 子どものように好奇心を全開にして参加すると、アンバサダーの方がキリンビールの140年の歴史や掲げているビジョンを説明してくれます。次に、ビールにとって大切な麦芽とホップが目の前に登場します。
 そして、「まずは、その形をじっくりと眺めたり香りを楽しんだり、もし良ければ、これをまずお口にしてみてください。」と話されます。
 私は、「キリンビールさんは、社員の方にマインドフルネス研修をしているのかしら?食べる瞑想みたい。」等と思いました。

 生まれて初めての出会いですから、しっかりと形を見て、何か音はするかしら?と耳に近づけたり、指で転がしたり、唇の上に載せたり、口の中で味わい、そして歯で咬んで感触を確かめ味わいます。

「ほのかな甘さ…。唾液がすぐに口の中にあふれてきます。おいしい!」そして、飲み込みます。その時の自分の思いや考え、感情、身体の感覚に意識を向けてみます。麦芽の心地よい甘さを感じた時、なんだか心がホッとしました。ホップは、黄緑色で藁のような香り…、太陽が感じられるよう。

 そして、この工場では、ビールにとって大切な「水」は、千刈貯水池の美しい水を使っており、そこに注ぎ込む川の上流にある森の保全活動もされているそうです。

 最期にお楽しみの3種類のビールの試飲タイムになります。こだわりのグラスにプロのビールソムリエの方が丁寧にしぼりたてにビールを注いでくれます。「色も香りも泡の口触りものど越しも繊細で美味しい…。」(宣伝のようですが…笑)

 友人とほろ酔いになりながら、楽しく語らいながら帰りました。

竹中大工道具館

 また、別に日に「竹中大工道具館」へ行きました。「竹中工務店」は、最初は、神社仏閣の造営から始められ、400年以上の歴史を持つ大企業です。

 門をくぐると閑静ないたるところに日本建築の最高の匠の技術を用いた「竹中大工道具館」へ招かれます。圧巻は唐招提寺行動組物の実物大の模型が展示されています。また、展示されている道具のいくつかは実際に手に取ってもよいとの事で、観察するだけではなく、手に取り、その重さや、手触り、匂いも嗅ぐことができます。

 ガイドさんによると、「13世紀ごろまでは、宮大工さん自身が森に入り、森の中での木の位置を確かめ、それを神社仏閣の配置に活かしていました。南側の木は日が十分当たるので枝を張り、どんどん成長していきます。北側の期は日の当たらないところでも辛抱強くがまんし、じっくりと成長します。それらの木の特性を建物に活かすと、木は成長した年月の間、建物を支えることのできる柱となります。

 1000年生きてきた木は、1000年間、建物を支える柱になります。けれどもそこには木を活かすための様々な知恵が必要で、道具、釘の一本もその木を活かすために手作りされていました。昔の都の古刹はみなそのように考えて作られています。」との事でした。

「千年の時を経ても建物やそこで祈りをささげる人々を支え続ける…。」

 当時、森に入った宮大工の棟梁はきっと「木を見る瞑想」のように呼吸しながら木を観察し、その香りをかぎ、手で触り、風のそよぐ枝葉を見たり、時には木の味を見たかもしれない、そして自分の思いや考え、感情や身体感覚を十分に意識し、間を取り、自分の中の知恵を探り、千年の単位寺社を支え続けることを意図し、様々な選択をしたのだろうなあ。

 また、「道具館」の違うコーナーでは、木ごとにかんなで薄く削った木の感触と香りを楽しむコーナーがあり、ゆっくりと色々な木と語らうことが出来ました。すると、昔の祖母の家の香りや、お風呂、タンスの香り、裏庭にあった焚き木の匂い、いっしょに行ったお寺の匂いなど様々な懐かしい思い出が甦ってきました。みんな異なる木の香りでした。昔は、日々の生活の中に森が入っていたんだなあ。

 一緒に回っている友人たちと共通の「木」の思い出も甦り、昔にタイプスリップしているようでした。

息の長い企業

 日本には、100年以上の歴史を持つ企業が世界一多いと言われています。私たちは、「息の長い」という言葉も使います。この2社も、いろいろな試練や危機があった時も「息を長く持ちながら持ちこたえて発展されてきたんだろうなあと感じました。

「食」や「住」は私たちの生活の基本、拠り所。マインドフル瞑想でいうところの「アンカー」です。そこに戻ってくるとホッとする、安心するような…。

 
 人間の五感と経験を時間の流れの中で極めたそれぞれの「作品」をマインドフルに見て、味あわせていただきました。あらためて、私は、森と水の国の住人なんだなあ。そんな私の記憶も甦りました。 

 まさに「マインドフル」な体験でした。

 こんな楽しい計画を立てていただき、いっしょに楽しい時間を過ごすしてくれたたみなさん、ありがとうございました。そして、キリンビールさん、竹中工務店さん、これからもがんばってくださいね。ありがとうございました。

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